その8
リフォームでゴーゴゴーッ!!


 
 それは、朝礼中の出来ごとだった。

 食堂にみんなが集まり、今後の進路のことや仕事での問題点などを話し合ったりする場が
ダカート号ではたまに設けられている。一つの部署では解決しない問題も、他の部署の力を
借りればすぐに解決することもしばしば。なにより、同じ船に乗る家族だ。仕事を分担している
ため睡眠時間も食事の時間もみんなバラバラだが、なんとか顔を合わせる時間を作って交流を
深めようみたいなのが朝礼だったりする。
 まぁ、みんなでどんちゃん騒ぎの宴会もあるのですが、この話はまた別の機会にでも……。

 
 朝礼も終わりかけの頃、エレナが立ち上がり、一言!


トイレがくさいのが我慢できないのッ!! なんとかならない?」



「…… (゚0゚) 」
 朝礼を仕切っていたドノバンがポカーンと口を開ける。
 他の面々もわいわいと騒ぎ始めた。
「うん、くさい」
「掃除してもくさいッス」
「芳香剤置いてもくさいよね〜」
「……なんでだろ」
「本来、トイレは落ち着ける空間でなければならない場所ですが……」
「意識失いそうになる」
「一気に酔いも覚めます」
「しょうがないから、たまに甲板から立ちションする」
「ちょ……! 誰だよ、今の発言!」
「とにかく、くさいんだよぉ!!!」

 エレナが手をたたいた。
「そうなのよ! ダカート号のトイレを改装しましょう。一度全部壊して、新しいのを設置すると
 いいわ。あと換気を良くしないと!」
 そう言い、エレナは付け加えた。


「それから、外装も少し変えたいわ」


「…… ( ̄○ ̄;)! 」
 またもドノバンの顔がひきつる。
 エレナの言葉に、他の面々も騒ぎ始めた。
「甲板修復したほうがいいよね、木が腐って穴があきそう!」
「ビーチチェアが置いてあるものの、外見のいかつさは消えないわけだし」
「見張り台をもっと快適に!!」
「確かに、海賊旗を掲げていないのに、たまに海賊船と間違われますしね」
「そうそう! 港で怪しい目で見られて、航海日誌の提示を要求されることもある!」
「やっぱ見た目だよ。見た目良かったら、積荷の仕事とかもたくさん入ってくるかも」
「船底に藻とか、貝とかいっぱいついてるから掃除したほうがイイッスよ」
「こうなったら、王家の船に見えるようにポポロクロイスの紋章とか掲げたらよくね?」
「だったら、帆もぴっかぴっかの真っ白なヤツに替えたらいい!」
「見た目だけでもリッチな船に……」

「……」
 みんなも言いたいことを一通り言ったところで、ドノバンが咳払いをし、ダイクを見た。
「トイレと外装変更の意見が出てるが、ダイク、今この船に、自由に使える金はどれぐらい
 ある?」
 この話が出て、嫌な予感がすると頭を抱えていたダイクが唸りながら電卓をカタカタと叩き
始めた。

「船長。食費と娯楽費削って、10万円までなら、なんとか出せるんだナ」
     

「10万か……」

 一度、静まり返った。

 と、その時だ!!!

 バンッ!!


 いきなり食堂から甲板へ繋がる扉が開いたのだ。何事かと警戒し、それぞれが身構える。
朝礼には全員参加中で食堂にいる。 しかも、ここは海の上。 誰も入ってこれないはず……!
 しかし、そこには誰かがいた。朝日の逆光のせいで姿が見えない!



「おはよーございます♪ 私の名前はエル。
      森の妖精リフォーム協会よりやって来ました!!」


        



          「だ……誰???」


「私のこと知らないんですか? だったら http://www.kmhold.jp/article/13479172.html
 こちらをどうぞ♪」

 ※上記URLは、株式会社ケイエムホールディングス様というれっきとした立派な会社へつながっています。
   大変なご迷惑がかかりますので直リンはしておりません。ご了承ください。






くコ:彡    C:。ミ    ミ[゜゜]ミ


 とゆーうわけで、エルのことがわかったところで、話は食堂に戻ります。

「あの……森の妖精なんでしょ? ここ海の上よ?」
「チッチッチッ! 細かいこと気にしてると大物になれないわよ、お姫様! そんなことより、私が
 この船のリフォームを担当するわ♪」

「本当!?」

 おぉっという歓声がダカート一家からわきあがった。半分以上はエルに対しての男たちの声援で
ある。
「希望は、トイレと外装ね。 ……で、ご予算は?」
「こんなもんなんだナ」
 ダイクはそろりとエルに電卓を突き付けた。エルはふぅっとため息をついて首を振ると、「0」ボタンを
押して、1ケタ増やした。
「100万円はないと無理よ。本当はもっとかかるんだけど……」
「そこをなんとか! あなたの力で10万円で改装してよ!」
 エルは困った顔をしたが、決意したようにうなづいた。
「10万円で出来る範囲で承るわ。外装は、ちょっとしか触れないわよ」
「それでもいいわ!! ありがとう、エル!」


「それじゃあいくわよ!  それ!!」


シャランラ♪       キラキラキラ……



「うわぁぁぁ! ありがとう、不思議の森のエル!!」
「っていうか、後方部分にポポロクロイスの紋章入りの板金入っただけじゃん」
「そして水洗トイレとは……」
「でも、これで10万円なら安いんじゃない?」




「じゃ、ここは日の国の海域のため、税込10万5千円になりまーす♪」
 
「消費税はまけるんだナ」



 というわけで、(予算の関係で)ダカート号の後方部分(と、トイレ)だけ豪華になりましたとさ♪

 そんなとある朝の出来事。


おわり





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