第7話  ガミガミ魔王城1、対決・ガミガミ魔王ッ!
─ そ の 2 ─




「「「涙がポポロ〜〜〜ッ!!!」」」


 ゴンッ ゴンッ ゴンッ



 ラリスとリリスとそしてバファンの頭をグーで殴りつつ、エレナは立ち上がった。

上映が終わり、シアター内が明るくなってくる。
「天然記念物もいいところよ。サギよ、詐欺ッ!! 
 なにより映倫通ってないじゃないッ!!!」


「詐欺ではなーーーいッ! 
       未来が描かれているのだ!」


「この声はッ!」
 辺りを見回す。他の客だったデフロボたちが出口へと一斉に避難する。

 シアター内は変化を見せた。スクリーンが引っ込み、座っていたイスも次々と
消え、シアターはたちまち何もない空間へと変わった。
 その先に大きなテレビ画面とコントロールパネルがあるが、画面には何も
映ってはいない。



「がーーーはっはっはっはっ! 

侵入者と聞き、来てみれば、
       なんだブラコン娘かッ!!」



 聞こえてくる声。負けずにエレナも怒鳴る。
「ちょっと、出てきなさいッ!」
 しかし、聞く耳など持ってはいないガミガミ魔王。どこからかモニターを
通してエレナたちを見ているのだろう。次には悲痛な声を上げた。
ゲッ! 一緒にいるお前らは、悪魔的な双子!!」
「んま、失礼! 天使って言っていただきたいですわ」
 抗議に出るリリス。
「なんだとー! もとはと言えば、お前らのせいで知恵の王冠が壊れたんだろ」
「違うわ、誰のせいでもないわよ」
 即答するエレナ。
「ふっ」
 そんなエレナを鼻で笑うガミガミ魔王。
「おい、お前ら。悪いが、2、3歩下がってくれないか」
 ガミガミ魔王の声に、顔を見合わせつつ、後ろに下がるエレナたち。
「・・・・・・もーーーーちょっと下がってくれ」
「だからなんなのよ」
 と言いつつ、下がる。
 エレナたちのいた場所の床が開き(出られなかったから下がれと言ったらしい)、
そこからガミガミ魔王が上がってきた。自信満々そうな不敵な笑みを浮かべて
いる。

「よし、エレナ、コレを持っていけ」

 ……と、手には何やらチューブ型の容器らしいものを持っている。
「なにそれ、ねりわさび???」
 エレナの言葉にガミガミ魔王は足を踏み鳴らした。ガンガンと鉄の音が
響く。
ちっがーーーーーうッ!! これは俺様が夜も眠らず昼にぐっすり眠って
 開発したその名も
 『なんでもくっつく超強力”漢の接着剤”だッ!!
 これを使えばなんでもくっついてしまう。そして、二度と離れることは
 ないのだ」

「・・・・・・」

 それを聞いたエレナはスッと怒りを静めた。ガミガミ魔王もガミガミ魔王
なりに知恵の王冠が壊れたことに責任を感じていたのかもしれない。何でも
くっつく接着剤を作るとは・・・・・・。
 ラリスが挙手する。
「じゃあさ、オジサンとナルシア王妃もくっつくの?」
「なななななな、何を言い出すんだ、このガキは!!」
「だって、何でもくっつくって言ったじゃん」
「物をだ、物をッ! そんな、俺様とナルシアちゃんをくっつけるなんて・・・・・・
 それもありかもなーーーー」
 頬をピンクに染めてヘラヘラと笑うガミガミ魔王。

 じとーーーーーーーー(-.-)

 エレナたちに冷たい目で見られているのに気付くとサッと表情を戻した。
「だ、だからだな。この接着剤で知恵の王冠をくっつけろ。上手くいく」
「ありがとう、ガミガミ魔王さん。でも・・・・・・」
「でも、何だ?」
「直ったの」
 ニッコリと笑い、答えるエレナ。

 ガミガミ魔王がエレナの言葉を理解しようと頑張る。

「な、直った・・・・・・のか?」
「そうよ。素晴らしい発明だったけど、ごめんなさいね。別のことに使って
 ちょうだい。それを大量生産して売れば? きっと城下町で売ってる
 お土産より売上上がるわよ」
「うっるさーーいッ! こんな接着剤で売上を伸ばすようなことはしない
 のだ! 漢のロマンに反するだろ」
「知らないわよ」
 エレナにサラリと言われ、ガミガミ魔王は腕を組んだ。
「んまあ、なんだ。知恵の王冠を壊した仕返しに乗り込んで来たと思って
 いたんだが、じゃあなんでお前ら俺様の城へ来たんだ?」
「そうそう、ようやく本題へ戻れるわ」
 エレナが一歩前に出る。
「あなたがここに城を建てたおかげでもともとここに住んでいたサルたちが
 困ってるの。撤収してちょうだい」
「俺様がどこに城をたてようが勝手だろ」
「サルのほうが聞き分けがいいぜ、おっさん」
 そう言われ、ガミガミ魔王がチラリとバファンを見る。
「誰だよ、そこの新キャラは?」
「オレはバファンだ」
「な! お前が伝説のお宝か!?」
「違うわよッ! 本名を言わないこの人が私の気を引くためにそう名乗っているのよ!」
「おい、ちょっと待て。なんでオレがお姫様の気を引かなきゃならねーんだよ」
 エレナとバファンが言い合いを始める。面白そうに交互に見ながら笑って
いるのはラリスとリリス。
「いや、僕的には面白い展開?」
「バファン様、エレナ様に気があるんですか〜?」
「ねぇよ! オレの名前なんてどーでもいいだろッ!」
「だったらバファンなんて名乗るのやめてちょうだい!」
「だから、今はそんな話をしてる場合じゃないだろ」
 そんな話をしたくないバファンは慌ててガミガミ魔王を振り返った。
 自分の存在を忘れられたと思っていたガミガミ魔王は、言い合いをしている
ところへミサイルを打ち込もうとしていたらしい。4人に見られ、慌てて
ランドセルをしまう。
「あら、ごめんなさい。忘れてたわ。先にあなたを何とかしなくちゃ」
 エレナがガミガミ魔王に謝る。
「ふっふっふっ、まぁいい。かかってくるがいい。全員返り討ちにしてくれる!」
 ガミガミ魔王がリモコンのスイッチを操作すると、天井が開き、そこから
ロボットがクルクルと回転しながら豪快に舞い降りてきた。
 ガミガミ魔王がそのロボットに乗り込もうとした、ちょうどその時・・・・・・。

「待つデフ〜」

 現われたのはお土産屋の店主のデフロボだった。手には一眼レフカメラを
持っている。
「なんだ、これから戦闘が始まるってー時に」
 ガミガミ魔王がデフロボに声を掛ける。
「さっきエレナさんがお土産を買ってくれたんデフ。その中に『魔王サマとの
 記念撮影』代も含まれていたデフ」
「いらないわよ、そんなの」
 兄への土産以外は興味ないらしいエレナ。
「そうおっしゃらずに、みんな集まるデフよ」
「コラ−ッ! 戦闘前に記念撮影なんてやってられるか!」
「でもガミガミ魔王様。どうせ負けるんデフよね? 先に撮っておいたほうが
 いいデフよ」
「うっるさーーい!(怒)」
「ささ、みんな並ぶデフ。魔王様は真ん中デフよ」
「お、そうか。俺様は真ん中か。さすがは城主」
 ガミガミ魔王は機嫌を直したらしい。嫌々なエレナと呆れ顔のバファンを
ラリスとリリスが背中を押してカメラの前へと連れて行く。
「撮るデフよーーー。はい、チーズ」

「「「「「フランス〜〜〜!!」」」」」

       カシャッ

「解散していいデフよ。写真は出来しだい送るデフ」
 お土産屋デフロボは手を振りながら去り際に壁に一度ぶち当たり、ヨロヨロ
しながらもその場から去っていった。

「じゃあ、お前ら、勝負だッ!!」
 気合を入れなおし、ガミガミ魔王が声を上げてロボットに乗り込んだ。




  



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