第7話  ガミガミ魔王城1、対決・ガミガミ魔王ッ!
─ そ の 3 ─



 ガミガミ魔王が巨大ロボットに乗り込む。

 ・・・・・・時間がなかったのか、それは先日ポポロクロイスに攻め込んできた
ロボットを修理しただけの継ぎ接ぎだらけの代物だった。双子によって壊さ
れた左腕だけは全く別のものになっている。
 ガミガミ魔王は、その新しい腕で4人に向かってパンチを繰り出した。全員が
バラバラに散りそれを避ける。パンチは鉄の床に直撃し、床が爆発した。それを
見てエレナが顔を引きつらせる。
「あんなのくらったら2、3ヶ月はベットから動けないわよ!」
 エレナが剣を下に構えてロボットへと走る。それを察したガミガミ魔王はミサイル
の発射口を全開にするとミサイルを発射した。エレナは立ち止まり、引き返し、
慌ててそれを避ける。
 そこへ広間の四方を囲む鉄の壁が開いて現われたのが戦闘用のロボットたち。
その数の多さにエレナはガミガミ魔王のロボットに怒鳴った。
「ちょっと、卑怯よ!」
「どっちが卑怯だ。ポポロクロイス城に押しかけた時は、俺様だってたくさんの
 兵士に取り囲まれたんだぞ。同等だ!」
 四方を戦闘用のロボットに囲まれ、その中央にはガミガミ魔王の乗る大型の
ロボット。エレナたちには不利な状況。最初のパンチで4人がバラバラの方向に
移動したが、固まって守りを重点に戦いをしたほうがいいのではないか、エレナ
は頭をめぐらす。
「おい、やばいんじゃねーのか!?」
 一番近くにいたバファンが敵の中を斬り込み、エレナの元へ駆け寄ってきた。
「オレはともかく、ラリスとリリスにケガさせたら承知しないからな!」
「わかってるわよ! 
 とりあえずガミガミ魔王さんは後回しよ! 先に雑魚から片付けましょう」

 エレナとバファンはうなづくと、戦闘用ロボットの中へ斬り込んだ。
 鉄で出来ているロボットたちは表面は硬くて歯が立たない。関節に狙いを定めて
剣を振り下ろす。
 エレナは心配でラリスとリリスは大丈夫かとチラリと様子を見たが、ラリスが
魔法で戦闘の補助をし、リリスが戦闘用ロボットをご自慢の蹴り技で山のように
積み上げていく。心配することないか、エレナは自分の戦いに集中した。
 そこへ再びガミガミ魔王の巨大ロボットからのミサイルの雨が降ってくる。
エレナはそれを避けようとしたが、あるものを踏んでその場に倒れた。瞬時の
ところでラリスの放った防御の魔法がエレナを包み、ミサイルの直撃を免れる。
「ありがとう、ラリス!」
 そう言いながらエレナは踏みつけたものを拾い上げた。チューブに入った
容器である。容器の表面のシールにはガミガミ魔王美化120%の顔と、
『漢の接着剤』という文字が・・・・・・。エレナはとりあえずポケットに接着剤を
入れると、辺りを見回した。
 峰内をくらったロボットたちがあちこちでショートし、電気をビリビリさせ
ながら倒れている。

 残すはガミガミ魔王の乗る大型ロボットのみとなった。

「うぬぬ・・・・・・お前ら人の家のロボットをボッコボコにしてくれやがって」

 ガミガミ魔王のロボットがパンチを繰り出す。図体の大きいこのロボットは
動きがやや遅く見切れるので避けるのは簡単だが、パンチの衝撃で床が爆発
するのでかなりたちが悪い。
 エレナはロボットのミサイル発射口を気にしていた。大技のミサイルの雨は
ほぼ一定間隔でやって来る。発射するのに少し時間がかかるのだろう。それま
ではロボットは単調な攻撃を続けている。
 出来れば、次のミサイル攻撃前までにロボットを倒してしまいたい。
「危ない、エレナ様ッ!」
 そう言われエレナはハッと頭上を見る。ロボットの巨大な足がエレナを
踏みつけようと襲い掛かったのだ。
 バファンが走り、エレナの体を体当たりでその場からどかす。

 ドスンッ

 ロボットの足が、今までエレナの居た場所を踏みつける。
「エレナ姫、あんた戦闘中に何ボーッとしてんだよ」
 バファンに怒鳴られ、エレナは謝った。
「ごめんなさい、油断してたわ」
「さっきだってラリスの魔法があんたを助けてなかったら・・・・・・」
 と言いながら、バファンとエレナはガミガミ魔王のロボットのパンチを
サラリと後方へと避ける。
「あの時は・・・・・・」
 そう言い、エレナは顔をぱっと輝かせた。
「そうよ、それよ!!」
「はっ?」
 バファンが眉をひそめる。
 エレナがロボットに向き直る。ロボットはラリスとリリスを踏みつけようと
暴れているところだった。
 エレナはロボットに駆け出した。
 わざとロボットの前に立つ。
 ガミガミ魔王のロボットがエレナを踏みつけようと足を高く上げる。
 エレナは不敵に笑うとポケットからあるものを取り出した。
 

 ドスンッ


 ロボットの右足が床につき、辺りが揺れる。ギリギリのところでそれを
避けたエレナはその衝撃で床を数回転がった。

 ロボットが再び動こうとするが・・・・・・

「・・・・・・あれ?」

 ロボットの中からガミガミ魔王の抜けた声が聞こえた。
 そう、ロボットが動かないのだ。どんなに力んでもロボットの右足が床から
放れない。
「エレナ、お前一体何をした!?」
 と聞くガミガミ魔王だったが、そう言いながら、何故動かないのか自分でも
理解し、怒鳴った。

「なッ!? お前、『漢の接着剤』を床に塗りやがったな!!」

 そう。
 右足のある床に塗られたのは、なんでもくっつく『漢の接着剤』。
「うぬぬぬぬぬぬぬーーーーー。くっそーーーー」
 ロボットの中でガミガミ魔王がわめく。左足をじたばたと動かすが、右足は
全く動かない。
 そこへ飛んでくるのが・・・・・・

「サンダーストーム!!」
「でやぁっ!」

 ラリスの魔法とリリスの蹴りで、新調したばかりのロボットの左腕が吹っ飛び
壁に激突。爆発と共にバラバラに砕け散った。


「もう終わりにしとけば?」
「いい運動になりましたわ」
 ガミガミ魔王にさらに追い討ちをかけるラリスとリリス。
 2人は決めポーズよろしくガミガミ魔王のロボットに親指をつきつけた。





  



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