第2話6
「ともに歩く、だからこそッ!!」
「エレナさん、今からあなたを『ボス』と呼ばせていただきやす!!!」
「あ、あの、なんのことでございましょうか!?」
思わず敬語なエレナ。
「いえね、エレナさんの呼び名をみんなでずっと考えてたんですよ。
『エレナさん』では締まりがないでしょう。 ま、『船長』は俺で、その肩書きは
誰にも譲りたくないし」
「みんなで私を見てコソコソと話をしていたのはそれだったのね!」
カーティスとランバートが2人で肩を震わせてクスクス笑っているのを見て、
エレナは2人を思いっきり睨んだ。
まったく、呆れたもので、ロクな『隠し事』じゃない。
「投票結果『ボス』ということで。おい、どうだ、みんな?」
「「「「「「異議なーーーーーーし!」」」」」」
みんなが賛同するなか、1人、必死で手を挙げている人がいる。
「異議あり、異議あり! ボスってなんなの!? 嫌よ、私!」
頬をふくらませ、プイッと横を向くエレナ。
困ったように頭をかくドノバンは、また紙に視線をおとした。
「嫌ですか? それじゃあ、次点の『姐御』なんてどうですか?」
「それも いやーーーーー。恐れ多いわ」
「 『お嬢』 」
「似合わないと思うし」
「 『親分』 」
「勘弁してください」
「 『リーダー』 」
「渡辺正行かっての!」 (ズビシッ)
「 『番長』 」
「絶対ムリムリ」
「 『ジョニー・アップルシード』 」
「それは、ゲーム違うんですけど」
全く決まりそうにない。
ドノバンが紙をくしゃくしゃに丸めてポイッと放り投げた。
「じゃあ、なんて呼べばいいんですかーーーーーッ!?」
思わず逆ギレのドノバン。
「つべこべ言わずに『ボス』でいいじゃないですか。ボスと呼ばせてください」
しかし、エレナも妥協しない。
「やめてよ、もう! ボスって、なんだかサルみたいじゃないッ! サルよ、猿!」
「ま、単純なところで、サルのたとえがいいでしょう」
そう言い、立ち上がったのは、カーティスだった。
「ボスザルってのは、先頭と中央にいるもの。
群れのボスたるもの、前へ進むときは危険が伴うため、つねに仲間の先頭を行き、
食事などの時は仲間との交流のため中央に移動する。 猿の例で申し訳ないですが、
実にあなたらしい。 ……『ボス』って、そんなに悪い呼び名ではないと思いますがね」
「……」
エレナはしばらく考え、ついに折れた。
「わかったわ。 そう呼んでちょうだい」
「ヘイ、ボスッ★ 俺ら全員、ボスにどこまでもついていきますぜ!!」
「ふふふッ、なんだかボスって呼び名に慣れるまで時間がかかりそう」
みんなの笑い声がダカート号に響く。
「それじゃあ、改めまして。 ダカート号、出航よッ!!」
「アイアイサーーーーーーーッ!!」
「ところでさ、これは買わなくてもよかったんじゃね?」
「……右に同じー」
「どうしても欲しかったのッ!」
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