ダカート号の心臓部といえば、精霊石とエンジン「クララ」のある機関室である。
この大事な場所を任されているのは、ガストン。
この船の乗組員の中では最年長でみんなから「おやっさん」と呼ばれて尊敬・
慕われている人物である。
ここは、そんな機関室。
「……」
ガストンは、エンジンの内部をのぞきこんでいた。
「うーん、やっぱりハーピエルに会ったときから、歯車の動きが悪くなっとるな。
よし、交換するか」
ひょっこりと顔を出し、下で待機させているトードに声をかける。
「おい、トード。ドライバーを取ってくれ!」
「どーれー?」
道具箱をあさり始めるトード。
「あー、それから、六角レンチと、金づちと、それから……」
ガストンの目の前で、トードが道具箱をひっくり返す。
慌てると、変な踊りを踊りだすのがトードの癖だ。
ガストンに怒られないようにと、パニック寸前で、道具箱の中身を必死で探す。
「おい、トード、あぁ、違う! それじゃない! 右のヤツだ。 おいこら、なんでヤットコと
金切りばさみの区別も出来ねーんだ!
ちんたらやってんじゃねーーぞ!!」
そう言われたトードの動きが止まった。
プチーン
「……トイレ行ってくるーーー♪」
ぴゅーーーーーーーーーーーーーーーー→
さっと背を向けて機関室を出ていく(※逃げる)トードに、ガストンのどなり声が
響く。
「あ、コラ!
そういうところは船長に似おって! もっとましなヤツはおらんのかー!」
ガストンはぶつぶつと文句を言いながら腰を上げた。
どうやら、1人でやるしかなさそうだ。
と、そう思ったとき。
「おやっさーん。 ちょっと船の速度の話なんだけどー……」
入れ違いで、機関室に入ってきたのは、航海の予定表を握り締めたカーティ
スだった。
「予定より遅れてるんだ。もうちょっとクララちゃんに頑張ってもらえない?」
「よし、いいところに来た! ドライバー取ってくれ。そして手伝え!」
「……は?」
ダカート号 GO! ゴーゴゴーッ!!
第3話
「ダカート号は、もえているかッ!」
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