天気:大いに晴れ
恒例行事:ダカート号釣り大会!!
「あの……釣り大会とか、わけわかんないんですけど」
甲板にて。
釣りざおのチェックをしながら、エレナは盛り上がってる男たちを見つめた。
「ボスとアイナは始めてだと思いますが、不定期にやってるんですよ。うん、夕飯は
魚づくしになりそうだね」
満足そうに笑うベル。
それぞれ さお とバケツを手に、船長のドノバンの元に集合。
「よーし! 久しブリの釣り大会だ。
1番多く釣った者は、10日間見張り当番免除!
最下位だった者は、見張り当番倍増!
お前ら、気合入れてやれよーーーーーーーーッ!!」
「アイアイサーー!」
「ちょっと待ってよ! それって、あたいも!?」
「私もなわけ!?」
見張り当番倍増とか初耳のアイナとエレナが同時に声を上げる。
「もちろんですよ。全員強制参加です」
それが恒例行事らしい。
すかさず、エレナとアイナは懇願した。
うるうるきゅーん
ドノバン、どっきゅーん
「……わ、わかりやした。考慮しましょう。
よーし、制限時間は2時間! それじゃ、始めーーーー!」
ドノバンの声と同時に全員がそれぞれに散っていき、見張り当番を賭けた
釣り大会は始まった。
メインデッキでは、グーリーと、カーティスと、ランバートが3人並んで仲良く
釣りを満喫していた。
「最下位だけは避けねばなりませんね」
「あぁ。最下位になると考えると胃が痛くなる」
「それにしても、ボスの大事な航海の最中に釣り大会って……まぁ、いいがな」
「たまには余興も必要ですよ」
「だったら、ガバスのカジノに行こう。恒例行事」
「ガバスはボスが許可しないだろ」
「ガバス行きたいなぁ。 そしてバニーお姉さんと……」
「あなたは、まだ懲りてないんですか……」
そんなくだらない会話を延々にしながら釣りは続く。
しばらくして、
クイッ!
1時間を経過したころ、ようやくカーティスの さお に初ヒットがかかった。
「お、来た!」
カーティスは思いっきり引っ張られた。
「な……。ちょっと大きいぞ、これは!」
海へ引きずられそうになるので、カーティスは隣のランバートに声をかけた。
「おい、ランバート。手伝え!」
「イヤです」
キッパリ言って、メガネのずれを直すランバート先生。
「私はまだ1匹しか釣ってないんですから。あなたに釣られると、非常に困ります」
「お前……!」
眉間にしわを寄せて、キッとランバートを睨む。
再び さお に体をもってかれそうになり、カーティスは足を踏ん張った。
「グーリー。頼む、手を貸してくれ!」
小魚を連続ゲットしていたグーリーは、自分の さお を固定すると、カーティスに駆け寄り
彼の体を支えた。
「お、こりゃ大物だな。伝説のクジラのマックかもしれんぞ」
「そんなの釣れたら怖いって」
「一気に引き上げるぞ。せーーーの!」
2人掛かりで、思いっきり さお を引っ張った。
「釣れたーーーーーーーーッ!!」
釣れたけど……
あああああああ
あああああああ「……」
あああああああ「……」
あああああああ「……」
ああああああああああああああああ
……ワニが釣れた。
ダカート号 GO! ゴーゴゴーッ!!
第5話
「ダカート号だよ、全員ーーーッ!」
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