第6話5
 ル ナ 様  VS ダ カ ー ト 号 」



「なんなのあの船ーーーッ!」

 ルナは地団駄踏んだ。
                 ……足はないんですが。
「ピノン、もう少し待っててちょうだい。あの船にひと泡吹かせるまでは、
 先へ進めないの。ごめんね、ごめんねピノン……」
 そう自分に言い聞かせ、ぐっとこぶしを握り締める。
「こうなったら……」

 突撃!

「ルナ魚雷(←自分のこと)発射!!」








 機関室では、ガストンとアイナが点検作業を終えようとしていた。
 真っ黒な手で額の汗をぬぐうので、アイナの顔には、すすがついていたが、
彼女は集中していたのでまったく気にしていなかった。
「じーちゃん、こっちはいい感じだよー」

 アイナの声を聞いて、上のほうで作業していたガストンがひょっこりと顔を出す。
「ま、こんなもんだな。よし、アイナ。動かしてみろ」
「はーーーーーいッ!!」





 機関が動き出し、スクリューが回り始める。

      ぐるん ぐるん ぐるん ぐるん ……
ああああ


ブォォォォォォーーーーーーーーッ

                               ドーンッ!!
キラリン★

「きゃあああああああああああーーーーーーーーっ!!」

 スクリューに巻き込まれ、ルナは吹っ飛んだ!!
 そして彼女の叫びは、機関と波の音にかき消え、遠ざかっていった……。





 エンジンの音を確認し、ガストンはうなづいた。
「よし! 完璧じゃ。 アイナ、みんなに連絡してくれ」
 アイナは伝声管に向かって元気よく叫んだ。
「みんなー、おっ待たせーーー☆ もう大丈夫だから、出航準備よろしく!!」

 そして、再びダカート号は元気よく動き出した。






エレナ日記

○月△日 晴れ
今日は、ちょっとエンジンの調子が悪かったけど、
 それ以外は特に何もない平和な1日でした。 









 マリーナ城では。

「おかえりなさいませ、ルナ様〜」

「ル、ルナ! あなた、その大ケガはどうしたの!?」

「わ、私、誰も恨んだり憎んだりしないもん。闇の妖精王なんかに食べられるもんですか!
 反対にこっちが食べてやるわッ!」
「ルナ……かわいそうに。どこかで頭を打ったのね」

 



 ──ルナが再び黄金の鍵を手にし、「月の掟の冒険」に旅立つのは、このもう少し先の
ことである。
 そのとき、ルナとダカート号は初めて出会う形となるが……ま、それはまた別のお話で。




第6話  ル ナ 様  VS  ダカート号
おわり


  

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