エレナは、自室で地図を眺めていた。
 今のダカート号の現在地と、これからの航路を指でなぞる。彼女はしばらく
考え、うなずくと、立ち上がった。
「ドノバンに相談して、やっぱり進路を変更しましょう」
 地図を丸めて、手に持ち、それからエレナは思い出したように引出しをあさり
始めた。
「ポポロクロイス城から持ってきたのよね……どこにやったかしら?」
 探し物をしているところに、コンコンッと、部屋のドアが叩かれた。
「開いてるわよ、どうぞ」
 誰が来たのかわからなかったが、引出しを探しながらエレナは軽く答えた。

「ボス、お邪魔します。ちょっとお話したいことがありまして……」
     

 現れたのはドノバンだった。いつもの雰囲気とは違い、よそよそしくエレナの
部屋に入ってきたドノバンは、1歩2歩と机に近づいた。
 エレナはようやく引出しから顔をあげた。
「あら、ドノバン。ちょうどよかったわ、私もあなたに話があったのよ」
「へ? あ、そうですか……」
「でも、私の用件は全然たいしたことないから、あなたの話からお先にどうぞ」
 ニコッと笑うエレナに、ドノバンは言いにくそうにうつむいた。エレナはじっとドノバンの
言葉を待った。そして、ようやくドノバンは切り出した。
「あの、もうすぐですね、『ガバス』っていう歓楽都市のそばを通るんですよ」
「えぇ、そのようね」
「カジノがある、そりゃでっかい街でしてね。ちょっと寄り道して遊びたいなーな〜んて
 思っちゃったりなんかして!」
「いいわよ」
「やっぱりダメですよねぇ……。って、へ???」
 ドノバンが目を点にし、固まった。
「い、いいんですか!? カジノですよ?」
 反対にドノバンが聞き返す。
 真面目で正義感の強いお姫様だ。絶対にカジノなんて「ダメ」という返事をされると
覚悟していたのに、あっさり許可がおりたのだ!!
 ドノバンびっくり!
「えぇ、行きましょう。偶然ね、実は私もガバスに行こうと提案しようと思っていたところなの」
 ドノバンは、感動にフルフルと震えると、扉を振り返った。

「野郎ども!! OKが出たぜ! 
 
  次の目的地はガバスだーーーーーッ!!!!」

「「「「「「やっほーーーーーーーーーいッ!!」」」」」」

 ドノバンの大声に、だっと部屋に男共がなだれ込んできた。
「まぁ」
 エレナが呆れた声を出す。


 「あっりがとうございます、ボス!!」
 「カジノだーーー」
 「ルーレット、スタートォォォォーーーーーーー!!」
 「一攫千金。金欠ダカート号のために頑張るんだナ」
 「はははっ。 バニーお姉さんとお友達にならなければ!」
 「お酒を飲むぞーーーー」

  ……すみません、毎度毎度、こいつら、こんなで。


「この前はニャンニャンアイランドに上陸出来なかったし、たまには息抜きをしないとね」
 エレナは再び引出しをあさり始めた。
「ボス、何をお探しですか?」
「えぇ。確か、ここに入れたのよね……。あっ、あった!」
 エレナは、みんなに1枚の紙きれを見せた。

   
「じゃーーーーーーーーん!
  見て見て! これ、ガバス・カジノの『コイン1000枚無料券』。
  これで思いっきり遊んじゃいましょう!!」


 みんなが目を輝かせた。


 「おーーーーーーーーーーーうッ!!」

 ダカート号が盛り上がる。


「それにしても、ボス。なんでコインの無料券なんて持ってるんですか?」
 ふと抱いた疑問をビリーがぶつけた。
 エレナは、ふふっと笑った。

「えぇ、それはね……」


 



ダカート号 GO! ゴーゴゴーッ!!


第8話

「歓楽都市ガバスッ!!
うちのボスと、カジノの裏ボス」




  

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