第8話2
「歓楽都市ガバスッ! うちのボスとカジノの裏ボス」






「「えぇッ!? 子供はカジノに入っちゃダメなの!?」」

ガーンッ!


 目の前にそびえ立つのは、大きなタワー。このタワーの中にあるたくさんの店と、
そして大きなカジノで有名な歓楽都市ガバスの港についたダカート号。
 さすがに、観光船が多く、あちこち観光客でにぎわっている。無事に港に入り、
上陸許可の下りたダカート号だったが、港の人に「18歳未満はカジノに入れない」と
聞かされ、行く気満々だったアイナとモンバは、甲板に座り込んだ。
 ドノバンが、2人に申し訳なさそうに手を振る。
「悪い悪い。昔は子供も入れたんだがなぁ。世の中、変わったもんだ」
「あたいも行きたい〜!!」
 そう騒ぐアイナの頭をガストンが押さえた。
「アイナは、じーちゃんと留守番だ。モンバと組んで脱走は許さんからな」
 アイナとモンバはがっくり肩を落とした。
「……考えてることがバレてるッス」
 ガストンは、ドノバンに大きくうなづいた。
「2人とダカート号はワシに任せて、楽しんできてください」
「おやっさん、頼みます」
「それじゃ、行ってくるわね」
「ボス〜。お土産買ってきてね!」
 アイナはエレナに抱きついた。うるうると目に涙をためて懇願する。
「ふふ、わかったわ」
 みんなが船を降りていく中、ガストン、アイナ、モンバは大きく手を振り見送った。






 さて。
 お客でごったがえすカジノのロビーにて。
 無料券のおかげでたくさんのコインを手にしたエレナは、全員平等にコインを分けた。
「それじゃあ、夕方4時に、ここに集合ね。それまでは自由行動。人様に迷惑のかかることは
 絶対にしないこと。いいわね?」
「「「「「アイアイサーーーーー!」」」」」
 うれしそうに、みんなが声を張り上げる。
「エドガーーーーーー!!」
 どこかに行っていたダイクが、エドガーの名を叫びながら走って戻ってきた。
「あら、ダイク、どこに行ってたの? これ、あなたの分のコインよ」
 ダイクは、エレナからコインを受け取ろうとせず、1枚の紙を突きつけた。

「エドガー、これを見るんだナ!! お酒を飲んでその銘柄を当てていくだけで
 賞金がもらえる大会があるんだナ! エントリーしてきたから、レッツゴー!!」
「えぇッ!?」
 ゆっくり酒場で飲むつもりをしていたエドガーが飛びあがった。
「い、いえ、わたくし、そういうのはちょっと……」
 問答無用! ダイクは鼻息荒く、エドガーの腕を強引につかんだ。
「優勝賞金100万円なんだナ! たまには人の役に立つことをするんだナ!」
「わたくしは、ただ楽しくお酒が飲めれば……あぁぁーーーーーーーーー」
 そして、ズルズルとダイクはエドガーを引きずり、人ごみの中を消えていった……。


「それじゃあ私は、カジノを一通り見て回ろうかしらね」
 ダイクとエドガーを見送り、エレナはカジノに入った。
 初めて入るカジノ。キラキラする照明、ジャズの音楽にエレナは少しくらっとした。
スロットマシーンに、ポーカーのテーブルに、ルーレットのテーブルはたくさんの人で
にぎわい、奥にはステージがあり踊り子たちが踊っている。バニー姿のお姉さんが
飲み物を配り、あちこちに警備員が立って目を光らせている。
 エレナは、後ろを振り返り、大きなため息をついた。
「ねぇ、なんでみんな私についてくるのよ?」

 そう。
 全員、エレナから離れようとしないのである。夕方まで自由行動と宣言したのに、
いつもの船のメンバーが、後ろにくっついてきている。
「いや、だって、なぁ……」
 みんなが顔を見合わせる。
「ボスを1人にするのが不安で不安で……」
 それを聞いたエレナは、ムッとして足をふみならした。
「んもう! 子供じゃないんだから、私は1人で大丈夫よ。ほら、解散、かいさーーーんッ!」
 エレナが手を叩き、みんなを追い払う。ドノバンたちは、心配そうにしながらも、それぞれに
散っていった。
 ようやく1人になり、エレナがふぅっと息を吐く。
「さて、どうしようかしらね?」




 そんなエレナの姿を、スロットの物陰から うかがう男がいた!
 思わぬところでばったり出くわしたエレナに、その男は明らかに動揺していた。
(な、な、なんで、こんなところにエレナがいるんだーーーーーーーーッ!?
  しかも、ボスとか呼ばれてるしーーーーーーーーーーーーーーーッ!?)

 ありえない。男は、心の中で大絶叫した。

 



    

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