第7話  ガミガミ魔王城1、対決・ガミガミ魔王ッ!
─ そ の 4 ─




「相変わらず派手に強いわね、あの子たちは……」

 エレナの目の前に広がる光景はといえば、目を回して倒れているたくさんの
戦闘用ロボットたち、それから左腕がなくなりその部分から煙を上げるガミガミ
魔王の大型ロボット、それから楽しそうに笑いながらもう1ラウンドしてもへっちゃ
らという感じのラリスとリリス。そして、ため息をつきながらクールに剣をしまう
バファンの姿・・・・・・。


 パカッ


 ロボットの頭部が開き、中からガミガミ魔王が顔を出した。動けなくなった
ロボットから降りてくる。
 エレナは腕を組んでガミガミ魔王を睨んだ。
「で、どうするの、降参する?」

「だーーーーーれが降参なぞするかッ! 
 こうなったら定番! 読者さんも待っているに違いない
   男のロマーン自爆スイッチを押すまでだ!!」

 ガミガミ魔王がコントロールパネルに向かって走り出す。
「ちょっと、やめなさいッ!」
 彼の自爆行為を前にも一度経験しているエレナ。慌てて手にあったものを
ガミガミ魔王に向かって投げつける。
 バファンもエレナと同様、ガミガミ魔王を阻止しようと、側で倒れていた
ロボ忍者を投げつける。

 コンッ

 エレナの投げた『漢の接着剤』がガミガミ魔王の前方に落ち・・・・・・

 ゴンッ!

「ぶへっ」
 ロボ忍者が頭部に見事に直撃し、その場に勢いよく倒れるガミガミ魔王。
「お前、一体何を投げてるんだよッ!」
 ガミガミ魔王がガバッと起き上がり、新キャラバファンに抗議に出るが・・・・・・
「ぬぉ?」
 ぐいっと体が床に引っ張られる。右手が動かない・・・・・・。

 そっと右手に視線を送る。

 も し か し て ・・・ ・・・

 ガミガミ魔王の右手がピッタリと床にくっついている。床にあったのは
エレナが投げた『漢の接着剤』。おそらく液がもれたのだろう。



「ギャ−−−−−−ッ!!!」



 ガミガミ魔王は床にくっついた右手に大絶叫した。
 エレナたち4人を睨みつける。
「お前ら、この接着剤は、何でもくっつくんだぞ! でもって二度と離れない
 んだぞ! どうしてくれるんだ、こらぁ! 俺様は右手を床にくっつけて
 一生暮らさなくちゃならねーんだぞ!」
「静かな老後を送ってちょうだい」
「だからバカプカ家のヤツらと付き合いたくねーんだよ! 責任取れッ!!」
 ガミガミ魔王が叫び叫び叫び、床から右手を引き剥がそうとするがどう
あがいても取れる気配はない。さっすがはガミガミ魔王様の開発した『漢の
接着剤』。
「まぁ、とりあえず・・・・・・一件落着とは言わないけれど」
 エレナは頭をかいた。
「ガミガミ魔王さんを確保したことだし、一度サルたちのところへ戻りましょうか」
 あとはガミガミ魔王とサルたちの話し合いで解決してもらったほうがいいだろう。
 そう提案した、その時。

 カチッ

 その音にエレナは目を見開いた。
 

ドドドドドドッ!!


 誰も乗っていないガミガミ魔王の大型ロボットからミサイルが連続して
発射され、雨のようにエレナたちの元に降り注いだのだ。しかも、前より
威力もありミサイルの量も倍以上だ。ロボットが壊れてしまっても構わない
という勢いでミサイルが広間に降り注ぐ。
 ロボットを操作するガミガミ魔王はここにいる。ロボットには誰も乗って
いないはずだ。自分が巻き込まれるようなミサイルをガミガミ魔王は普通
撃ちこまないだろう。

 誤作動だろうか、それとも誰かが・・・・・・。
 
 ミサイルがようやくやみ、エレナは息を吐き顔を上げた。
 ラリスとリリスは無事だろうか・・・・・・。エレナは煙の立ち込める中、2人を探した。
 風が煙を運び、辺りが見えてくる。




「……遊びはここまでにしてもらおうか」

 その低い声にエレナは身を強張らせた。
 爆風の中、ガミガミ魔王のロボットの右肩のところに、・・・・・・そこに見知らぬ男が
立っていた。濃い緑色のローブを羽織り、手には死神のような大鎌を持っている。


「ねぇ・・・・・・誰なの?」

 エレナは、双子とバファンの表情を見て事態がかなり深刻であることを知る。
 ラリス、リリスが顔を恐怖で真っ青にしてまじまじと現われた男を見つめ、バファンも
同じく、信じられないものでも見たかのように息を飲んで立ち尽くしている。


 3人のこんな表情を見るのはエレナは初めてだった。


「さぁ、来てもらおうか・・・・・・」
 ロボットから飛び降り、無音で床に着地すると、男は無表情でラリスとリリスへと
手を差し出す。
 ラリスとリリスが男から遠ざかろうと後退する。

 男はやれやれと首を振った。



「拒む理由がわからないな。
  さぁ、闇の世界で・・・・・・闇の王ダーナがお待ちだ」





  



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