第3話4
「ダカート号は、
えているかッ!」


そして、エレナとガストンは、無事に上陸したのだが。




「な、なるほど……」
 エレナは腕を組み、いつになく真面目な顔で、辺りを見回した。
 港町全体が、猫さんで、かわいさいっぱいの癒し系全開で賑わいをみせていた。
「これは萌えるわ。観光地になったり、うちの男どもが来たいって言うのわかるわかる!」
 事実、エレナもお店を見て回りたい衝動に駆られていた。露店で売られているかわいい
猫さんの置物を、兄へのお土産にしたいと思ったが、ここで買っては、残してきたダカート号の
クルーに申し訳ないと思い、ぐっと我慢我慢。
「む、昔はこんなんじゃなかったんですが……。第一、島の名前も違うし、漁業が主流の
 もっと静かなところじゃったんですよ?」
 ガストンは、変わってしまった故郷にため息をついた。
 エレナがガストンを気遣い、笑いかける。
「島に活気があるのはいいことよ。どんな形であれ、過疎化するより、いいと思うわ」
「ありがとうございます、ボス」
 そうお礼を言ったガストンの目の前を、綺麗な猫耳お姉さんが通り、ガストンは鼻の下を
伸ばした。
「ほら、早くお孫さんのところに行くわよ!」
 エレナは、ガストンの耳を引っ張った。
 







 観光名所になっている港町付近を少し離れると、そこにはのどかな風景が広がっていた。

「よいしょっと」
 川で水を汲む1人の少女。
 ふぅっと一息ついて、彼女ははるか遠くを眺めた。港町のほうは賑わっているが、ここは
きわめて静かな場所だ。その港町の先には、大海原が、太陽の光を浴びてキラキラと
輝いている。
 少女は、海を見つめて、にっこりほほ笑んだ。
 そして、水のいっぱい入った桶を持った、そのとき。

「アイナ!」

 その声に、少女は、振り返った。
 すぐ先に2人の姿がある。1人は女性、それからもう1人は……。
「……じーちゃん?」
 その呼び声が確信のものとなり、少女の顔にぱあっと笑顔が浮かんだ。
「じーちゃん!!」
「アイナ!」

 アイナが、持っていた桶を放り投げて、ガストンの胸に飛び込む。


「元気だったか、アイナ? また大きくなったのう」
「うん! じーちゃんも、久しぶり! なによ、来るなら手紙でもくれれば、町のほうまで
 迎えに行ったのに!」
「あぁ、急で悪かったな」
「どうしたの? おじさんとおばさんに用事?」
「アイナ。じーちゃんと一緒に海に行こう」
「え?」
 アイナが驚いて、ガストンから離れた。戸惑いを隠せずに、首をかしげる。
「だって、じーちゃん、いつもダメだって言ってたのに……船に乗ってもいいの?」
「あぁ。ダカート号で、みんなが待っとる」
「やったー!」
 アイナの顔がキラキラと輝いた。



「やった ついに、じーちゃんと一緒に、あたいも海賊
 なれるのね!! 世界の海は、あたいのものよッ!」





「!?!?!?!?!?」
 エレナとガストンは、アイナから10歩ぐらい後ずさった。






    

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