第4話2
健康診断で、ゴーゴゴーッ!」




ゴゴゴゴゴ……


さて、今日は予告してました健康診断を行います。
1人ずつ伝声管で呼びますから、問診票を持って医務室へ来てくださいね。

 あぁ、逃げても無駄です。世界の果てまで追いかけますので、
 覚 悟 を き め て 医 務 室 へ 来 い 。   以上ッ!」




「えぇーっ。 おへそまわりは、75センチなんだナッ!(自己申告)
「お酒は1日コップ1杯ッ(自己申告)」
「タバコは、ほとんど吸いませんッ(自己申告)


「メタボさんに、アル中さんに、ニコ中さんは、問診票にウソを書かないように。
 それから、筆記道具はいくらでも貸しますので、この部屋から出てってください。
 そして、海図の上に検尿のコップを置かれると超ムカつくんですけど」
 なるべく丁寧に、イライラしながらカーティスは海図室に居座る3人に声をかけた。
「なんだよ、お前だっていつも『神経性胃炎』とか診断される仲間だろ!」
「「そーだ、そーだ!」」
 仲間扱いされて、カーティスは呆れたように手を振った。
「一緒にされちゃ困ります。こっちは神経使う仕事してるんで職業病なんですぅ!」
 ダイクにエドガー、ガストンの3人は、毎回のようにランバートに健康状態について
説教される常連だったりする。

「「「はぁーーーーーーーーーーっ」」」
 3人の、この世の終わりのような不幸そうな、ため息。


 トントンッ

「お邪魔しまーす♪」
あいにゃん
 扉が開かれ、部屋に入ってきたのはアイナだった。
「あっ! じーちゃん、こんなところにいたんだ。探したよーーー!」
「おぉ、アイナか……」
「どしたの? 具合でも悪いの? 元気ないねぇ」
 アイナが、しょんぼりするガストンの顔を覗き込む。
「あぁ。ランバートのところに行かなくてはと思うと、気分が悪くなるんじゃ」
「あたい、一番乗りで健康診断終わったよーーーん♪」
 元気ハツラツなアイナに、3人はびっくり仰天。
「なナッ!?」
「もう終わったのか!?」
「うらやましー」
「うん。ちょっと調べるからって血を採られたけど、問題ないって。どこにも異常はなしって
 言われたよーーー」
 Vサインで、絶好調を語るアイナ。
 はいはい、と、カーティスが手をたたいた。
「アイにゃん。悪いが、この3人を海図室から追い出してくれ。航路の計算をしなきゃならない
 のに、仕事にならないんだ」
 カーティスの言葉に、アイナは明るく手を挙げた。
「合点承知☆ ほら、じーちゃんも、エドガーもダイクも甲板に行こう! お日様ポカポカ、
 ひなたぼっこしよー!」
 アイナに引っ張られ、3人がブツブツ言いながらも重い腰を上げる。

 と、そのときだ。
 伝声管からランバートの声が聞こえた。
 
「カーティス、次はあなたの番ですよ」

 




    

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