第4話5
健康診断で、ゴーゴゴーッ!」

 



「注射は嫌だーーー。絶対ムリだーーーーー!」
 
「ボス、ビリーを抑えつけておいてください」
「えぇ。ごめんね、ビリー」

「嫌です、ボス。 いやだー、誰か助けてくれーーー。
助けて、おっかさぁぁぁぁぁぁぁん!!






  」














し  〜  ん っ














「あ、静かになった」
 ポツリと、アイナがつぶやく。

 全員が思った。
 (ビリー……。いろんな意味で、大丈夫か?)






 医務室前では、クルー全員が待機していた。
 一番そわそわしているのは、やっぱり船長のドノバンで、大砲回廊を行ったり来たり、
もう10周ほど歩き回っている。
 ドノバンの足音以外、波の音も、エンジン音も聞こえない。
 全員が起きているのに、ここまで静まり返るダカート号も珍しいだろう。

 とてもとても長い時間に感じられたが、そんなに大した時間は経っていなかったのかも
しれない。
 全員が、じっと待っていた。
 そして、
 しばらくして、医務室の扉があいた。
「ど、どうだ!?」
 ドノバンが扉に駆け寄り、一番に大声を出して聞く。
 最初に出てきたのはちょっと疲れた表情のエレナだった。
「あら、みんな……」
 エレナは、全員が揃っていたことに驚いたようだ。
 次に出てきたランバートは、にっこりとほほ笑んだ。
「終わりましたよ。大丈夫、今日は面会させられませんが、明日にはビリーの元気な
 顔が見られるでしょう」
 
 全員から、わっと歓声があがった。





    

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